津和野町を観光で訪れるなら、最初に立ち寄ることをお薦めしたい場所があります。
2015年10月11日にオープンした、「津和野町 日本遺産センター」です!

日本遺産センター外観


日本遺産(Japan Heritage)とは、文化庁が認定するもので、
"地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリー"のこと。

例えばある地域に様々な文化財があるとして、

「この甲冑は国宝で神社は重要文化財、こちらの庭園は名勝で、ここの城跡は史跡に指定されており、そこの神社の伝統芸能は重要無形民俗文化財です。」

などと単独で紹介しても、もうひとつ伝わりにくかったそれぞれのよさを、つなげてストーリーにして一体的に伝え、それらを大切に保存するだけでなく活用していくことで魅力を引き出し、国内外に発信していきましょうということのようです。

2015年4月、日本全国から最初の18件が選ばれ、
そのひとつが津和野町の『津和野今昔 ~百景図を歩く~』でした!


日本遺産センター内観


そのストーリーがどういうものか、百景図(複製)を一望でき、さらに映像やパネルで、あるいは常駐のコンシェルジュ(案内人)さんがわかりやすく津和野の魅力、まち歩きの楽しみ方を紹介してくれるのが「津和野町 日本遺産センター」なのです。


日本遺産センター内観日本遺産センター内観
これも栗本格齋さんが描きました津和野百景図 ご覧あれ


百景図とは、津和野に遺されている100枚の絵とその解説。

津和野百景図(複製)
それらはおよそ150年前 幕末期の、津和野藩内の名所や風俗、食文化などが描かれたもので、
『津和野百景図』といいます。

津和野百景図

九州 久留米藩からきた津和野藩最後の亀井家 第11代藩主 名君 亀井玆監(かめいこれみ)公の公文書の原稿や私信、業績を集大成した文庫を「以曽志乃屋文庫(いそしのやぶんこ)」といいますが、『津和野百景図』もこの文庫をまとめる際に描かれたものでした。

描いたのは栗本格齋(くりもと かくさい)(本名 栗本 里治(さとはる))。


津和野藩政のころ、亀井家の御数寄屋番(おすきやばん)という役職で、茶室の管理など文化的な面でお殿様の側にお仕えしていた方。

御殿内の様子や藩内の随行先、お殿様の生活を真近で見ることができた格齋は、亀井家からの信頼も厚く、第14代当主 亀井玆常(これつね)公から依頼を受け、明治の終わり頃から、書き溜めていたスケッチをもとに描きはじめ、3年8ヶ月の歳月をかけて100枚の絵を完成させたそうです。

若いころには狩野派の絵を学んだ格齋さんは、百景図以外にも文庫のための絵を任され、多くの絵を描き残しました。

一枚一枚見ていると、親しみと温もりを感じます。
穏やかな人々の暮らしやまちの雰囲気、格齋さんの人柄や"津和野愛"が伝わってくるような・・

これらの絵が描かれた頃は、明治の啓蒙思想家 西周(にし あまね)や、文豪 森鴎外(もりおうがい)(本名 林太郎)が、藩校の養老館で学問に励んでいた時代と重なります。

現代にもその頃の伝統、町並み、文化など半分以上の風景や行事が残っているといいますから、彼らがみていた原風景とほぼ同じものを見て、体感することができるのですね。


第80図の青野山の絵日本遺産センターの背後に青野山


時代が進み、鉄道や道路をつくるなど町を開発する際にも、町の名士たちはできるだけ百景図に描かれた美しい町並みを残そうと知恵を絞ったそうです。いまものどかな雰囲気で和むのは、大切なものを守ってきたまちの人々のおかげですね。

殿町の通り


お話しを伺ったコンシェルジュさんに、百景図のなかから、近くで気軽に行けるスポットのひとつとして紹介してもらった、鳴滝へ行ってみました。



第67図 鳴瀧

第67図 鳴瀧

まちの中心から車で数分のところ、
住宅を抜け線路脇を上る

住宅の横を抜け、線路を越えるときは気をつけて



SL「やまぐち」号も走る線路を越える(それ自体ちょっとワクワク、でも気をつけて!)と・・・、



空気がかわりました。

鳴滝神社






お社があります。鳴滝神社。本堂の横を少し歩いていくと・・


少し歩くと・・・




見えてきました。鳴滝です。

鳴滝


そこに佇み、"かつてお殿様や西周さんや森鴎外さんたちもこうして見上げていたのかな・・・"と、想像するのはそんなに難しいことではありません。ここの気配は当時とそう変わらないのではないかと素直に思えました。


第67図 鳴瀧鳴滝

鳴滝神社


こちらの鳴滝・鳴滝神社は古くから地域の信仰の対象で、瀑布は清水としても有名で、飲用水としても利用されてきたそうです。

毎年10月17日には鳴滝神社例祭が執り行われます。
"体験できる百景図"のひとつです。




百景図は大半が津和野城を中心として南北約3キロメートル、東西約1.5キロメートル四方に集中していますので、その気になればかなりの場所へ行ってみれそうです。

津和野町日本遺産センターではテーマに分けたお薦めの町歩きコースも紹介しています。

コースはWEBサイトでもみることができ、またアプリも作られていて、こちらは実際歩くときに利用すると便利で楽しい機能がありますのでお供に是非。文明の利器をめいっぱい利用して、まちを歩けば江戸情緒・・・歴史の重みが更に増すような気がします。

「津和野町 日本遺産センター」で百景図のことを知ってから訪れた鳴滝は、想いが時間旅行した分、より深い感動を与えてくれました。

こうなるとまだ行っていないところはもちろん、すでに訪れた場所も、もう一度、
行きたいと思ってしまっています!

津和野百景図も一挙紹介↓
WEBサイト【津和野町日本遺産センター "日本遺産 津和野今昔 ~百景図を歩く~" 】

※津和野町 日本遺産センターの展示室内は撮影禁止です。今回は特別に許可をいただきました。

「小さな看板が立っていました」の拡大写真

「山の中腹に太皷谷稲成神社が見えます」の拡大写真

「列車が通過していきました」の拡大写真