2017年、大田市を挙げて行われた『石見銀山世界遺産登録10周年』事業。
多くのイベントが石見銀山で開催され、賑わいを見せました。
そのなかでも、人々の記憶に、後世への記念に残るような出来事だったのは『世界遺産モニュメント除幕式』でした。

行われたのは2017年3月24日。
晴れ渡るいいお天気で、平日にもかかわらず、大森の町中にはたくさんの観光客が訪れていたのが印象的だったことを覚えています。

この日は10周年事業に合わせて、無料開放されていた「龍源寺間歩」にも足を運びました。
石見銀山世界遺産センターから路線バスで大森の町へ。
降り立ったのは、石見銀山公園。
広々とした公園には、休憩場所や観光案内所などがあり、ガイドさんと観光客の姿があちらこちらで見られました。和気あいあいとした活気が感じられます。

ここから歩いて、龍源寺間歩を目指します。

銀山公園龍源寺間歩へ向けて

道中にはいくつかのお寺や神社など歴史感じるスポットが。パンフレット片手に見物し、時にはガイドさんの話も聞いたりして、楽しく散策をしました。
この龍源寺間歩までの銀山地区と呼ばれる区間は約2.3キロメートル。片道45分の道のりです。
自転車でさっそうと駆け抜ける人の姿があるかと思えば、先ほどの銀山公園からガイドさんに案内されながら歩いている人の姿も見られたり、みんなが自分たちなりに石見銀山を満喫している様子が見て取れました。

道中道中道中

歩き続けていると次第に道路沿いにあった民家やお店が減っていき、気がつけば自然豊かな道を進んでいることに気がつきます。

道中

石見銀山の範囲は広大だと感じつつ数分。前方に複数の人の気配がしてきました。

龍源寺間歩に到着です。

龍源寺間歩

間歩の入り口は想像よりも小さくて、こじんまりとしています。しかし、入り口に組まれた木は目を見張るもの。このようにしっかりと木を組むことで坑道の入り口の崩落を防いだと言います。(出口も同様になっていました。)

一見小さく見えても、人の生死がかかったその重みが感じ取れるようでした。

間歩入り口間歩入り口

中に入れば仄暗い坑道をオレンジ色の灯りが照らして、ぽつぽつと浮かび上がってみえます。

一歩ずつゆっくりと進んでいる内に、歩けば歩くほど驚きが隠せない、そんな心境になっていきました。それほどまでにしっかりとした道で、まさか手で掘ったものだなんて思えなかったのです。

ただ、徐々にこの明るさに目が慣れてきた頃には、壁に残る細かなノミの跡や、時折、細く長く掘られた横穴を見ては人の手の存在を強く感じるように。銀を求めて暗く狭いなかで作業をする当時の人の姿がここにはあったのですね。

坑道内横穴

坑道を約160m。まっすぐ進んだ先に大きな看板があり、現在地を知ることができました。
どうやらここは半分の地点。(一般に公開されているのは新坑道含む273m、全長は約600mに及びます。)
この先は少し坂を上るように、緩やかな道・新坑道を歩きます。

現在地現在地新坑道

太陽が見えない環境下で、どのくらい歩いたのか感覚がつかみにくいうえに、時間も忘れてしまうほど、現実離れした場所にいる。そう実感していたところ、少しびっくりしたのは、壁に設置されたパネルの数々。

銀発掘当時の人々の生活、銀の採取から加工といった行程が文章と画によって紹介されています。

様々な工程を経て銀になること。
手作業、人力で、そのほとんどの作業が行われていたこと。

(ここに掲載した画像はほんの一部です。)

鋪内之図作業図唐箕風箱之図鉱石を運ぶ

龍源寺間歩を出る頃には、今現在もこうして、数多くの間歩が残されていたり、街並みを歩くことができたり、素晴らしい状態を保つ世界遺産が島根県にあることに誇らしさを感じていました。

龍源寺間歩を目指してやってくる人は多いと思うのですが、その帰りの道中にでも、銀の精錬場などの加工場跡や、神社やお寺、町並みをしっかりとみて、当時について考えてほしいなと感じました。

間歩から、銀山公園へ向けて歩き出します。

帰りは、銀山の氏神様を祀る佐毘売山神社にお参りしたり、江戸時代の精錬所跡である下河原吹屋敷を小高い櫓から見下ろすようにして見学も。
行きの道中よりも積極的に見て歩きました。
石見銀山をちゃんと知りたいという気持ちからくる行動だったと思います。

佐毘売山神社下河原吹屋跡渡辺家住宅

気が付けば銀山公園に到着。
モニュメント除幕式に間に合ったようです。

『世界遺産モニュメント除幕式』は、大勢の関係者と地元の人々、ガイドの皆さん、そして観光客に見守られながら行われました。

大田市マスコットキャラクターの「らとちゃん」や、保育園の園児までが参加する、あたたかな除幕式。多くの人がわくわくとしているのが伝わってきます。

モニュメント除幕式

幕が引かれて現れた、青く輝くモニュメントに沸く拍手。
その手前に設置されている石見銀山の地形模型が存在感をより引き立てます。

青く文字の書かれている表示サインの部分には、白文字でユネスコの精神である「平和と人権尊重」そしてユネスコのロゴと並んで世界遺産の標章が書かれています。
モニュメントからは世界遺産としての誇りが感じられますし、地形模型からはそのスケールの大きさが伝わってきます。いいコンビネーションを発揮しているように思われました。

これから多くの方々が、この地に訪れ、このモニュメントと一緒に記念撮影をするのかもしれませんね。
3月24日、石見銀山のすばらしさをさり気なく、しかし確実に伝えるいいモニュメントが設置されました。

モニュメントお披露目輝くモニュメント

そして、モニュメント除幕式から10か月後、2018年2月6日に発表された第25回しまね景観賞。

屋外広告・その他部門で「優秀賞」を受賞したのは、大田市大森町の「世界遺産ユネスコマーク 標示サイン」でした。

『しまね景観賞』は、魅力ある島根の景観づくりに貢献しているまちなみや建造物及び活動等を表彰し、快適で文化の薫り高いふるさと島根の景観形成に資することを目的に実施されている事業です。

あの銀山公園のモニュメントが、大森の町の美しさを損ねることなく、より一層魅力的にするものだと認められたと考えてもいいのではないでしょうか。

自然と歴史、ひとが輝く、素敵なまちにぴったりのモニュメントは、今日も青空と自然の中で石見銀山のすばらしさを伝えています。

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世界遺産・石見銀山について詳しくはこちら:石見銀山ウォーキングミュージアム

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