NO KOKE,NO LIFE.
2024年04月11日
NO KOKE,NO LIFE.
県の西部、中国地方最大の河川、江の川を中心として、北は日本海
南は中国山地の北側に位置する、県内の市では最も小さく人口が少ないまち・江津市(ごうつし)。
東京からの時間距離がいちばん遠い市、と話題になったことも。
(江津市波子(はし)町の赤瓦屋根と日本海)
その江津市で取り組まれている『52 KOKE PROJECT』(ごうつコケプロジェクト)。
平成27年に発足し、自治体、企業、生産者、コミュニティが連携し、
江津の「苔」のブランド力を高めています。
⇒52 KOKE PROJECT https://52kokeproject.jp/
“生産者・地元の企業・行政が一体となって取り組み、
地方創生6次産業モデルとして「江津のコケで世界を潤す」をビジョンに、
癒しと新しい暮らしを提案し、地域の活性化を目指すプロジェクト。“
へー。 江津でコケ…。 ??
コケ。あの庭に生えている苔を?栽培?? 江津で?????
まちなびスタッフは、たくさんの“?”を携え、江津市へ。
まずは江津市農林水産課でお話を伺いました。
江の川を抱く江津市の、水資源に恵まれた環境。
山間部は年間を通じ湿度が高く、苔の栽培に適した条件が揃っています。
そして、狭い場所でも育つ苔。
資材が軽くて高齢者や女性も作業がしやすい苔。
そう、江津市は、苔栽培のベストスポット!
耕作放棄地の解消や、地域内発型の新たな産業創出を目指すこのプロジェクト。
実は江津市での苔栽培は、まさに身近な地域資源を活かすということ。
江津市×苔への興味が高まってきました。
さて、市役所でご紹介いただいた苔生産者の会員・河村正樹さんを訪ねて、
江津市波子町にある、“ナミノコ雑貨店へおじゃましました。
⇒ナミノコ雑貨店 https://www.naminoco.net/
こちらが店主の河村(かわむら)正樹さん。
河村さんは広島県から約7年前に江津市に移住。
苔の生産~販売、お店で苔テラリウム体験教室もされています。
店内では、ご近所の方が制作したドライフラワーのブーケや雑貨、ペット用品の販売、
お店でカフェもされ、ゆずPUPUという地元産の柚子を使った
おつまみも販売されています。(これが美味しいんですよ!お酒に合う!)
https://www.naminoco.net/yuzupupu
苔テラリウム体験!
さて、苔のお話を伺う前に苔テラリウム体験!
苔テラリウム― 中が見える透明なガラスやプラスチック容器などの中に
2,3種類の苔や植物、動物のフィギュアを入れ、自分オリジナルの箱庭を作る。
店内にはたくさんの苔テラリウムが置いてあります。小さな瓶から大きな水槽まで。
河村さん)苔… 苔テラリウムとか、見たことありますか?
まちなび)なんとなく…。ずっと気になっていたんですけど、近くで苔を
取り扱っている店を見ないですね。
河村さん)東京や大阪以外はそんなにないですね。ちらほらありますけど、
なかなか苔の扱いは難しいのでね。
河村さん)では、今日作ってもらうのはこういう感じのもので、瓶はこのサイズですけど
小学校低学年さんでも、最終的にカタチにして帰られるので。
難しく考えなくて大丈夫です(笑)
まちなび)じゃあ… 大丈夫かな(笑)!
それでは始めていきましょう!
(使う苔、石、小さい動物のフィギュア)
テーマ… 大自然。
河村さん)まずはテーマ(レイアウト)を考えてみましょう。
ただ土を入れて苔を置くのではなく、どんな瓶にどう土や石を入れて
苔をのせるか。
河村さん)それでは、土を敷いていきます。先に荒い(大きい)石を入れて、
その上に細かい石や砂を入れると…
まちなび)下に落ちちゃいますね。
河村さん)そう。だからまず細かい土を敷いていきます。
平らでもいいけど、土を斜めにすることもできますよ。
まちなび)斜め、かっこいい!
河村さん)瓶の3分の1が土、3分の2を空間にすると見た目がカッコイイですよ。
細かいアドバイスをいただきながら、真剣に作業を進めていきます。
河村さん)…こういう細かな作業でその人の性格がでます…(笑)
レクチャーを受ける毎に、冗談交じりで指導してくださりとても楽しい!面白い!
土台ができたら大きめの石をバランスよく置く。
平たい苔を敷く。背の高い苔はピンセットと長い柄のスプーンを使って土に刺す。
粒状の白い石を… 苔にかからないようスプーンを使ってパラパラパラ… と。
最後にフクロウをピンセットで乗せて。
少し体裁を整えてもらい、スタッフのイメージどおりの苔テラリウムが完成!
今後の苔の扱いを教えていただきました。
苔の一番の敵はカビと日光。あと、置き場所に注意が必要。
日光で瓶の中が蒸れてしまうと良くない。
蛍光灯などの灯りはいいけれど、直射日光に当てないほうがいい。
エアコンの風が直接当たらない場所に置く。
2週間に1回水やり(霧吹き)を。
白い綿のようなモノがカビ。綿棒で取るか…専門の方にヘルプを求める。
上手に扱うと、苔は成長していくそうです。
江津市へ移住
ひと息ついたところで、なぜ、広島から江津へ移住され、
なぜ苔に携わろうと思ったのかをお聞きしました。
- 移住を考えていて、海のそばに住みたいと思っていたんです。
今から7年ほど前に江津市に移住してきましたが、来る少し前から、江津が
「52 KOKE PROJECT」として、苔を農業の品目として推していこうとしていて、
他(の都道府県)でも“苔”で農業、というところは聞いたこともなかったので
「やってみようかな。」と思ったんです。
江津市は、江の川やその支流が多く、山が多く平地が少ない。
農業をするにも農地面積が少ない。日照時間が短い。が、豊富な水、山が多く
霧が発生しやすい地形や環境のおかげで、美しい苔が自生しています。
(条件がありますが)置いておくだけで育つというメリットもあり、
生産者の数は少しずつ増えています。
他の農業は、一から始めるとお金も労力もすごくかかるけれど、
苔は取り組む規模によって自由にできるので。
苔の生産管理は簡単にできるか、難しいかと言われると、作るのは
「そんなに難しくはない」です。
技術的にまだわからないこともありますが…。
ただ、課題はあります。
例えば、野菜みたいに農協などに出して流通させれば売れるけれど、
苔はそういう手段がないので、自分で販路を探さないといけないんです。
だから、こういう苔テラリウム体験教室やお店をやっています。
お声がかかったら出張も行きます。
波子町には移住してきた方が多く、河村さんもその一人。
伺ったときにご近所の女性がお茶をしにいらっしゃいました。
その方も広島県からの移住者。
このまちにやってきているのは、人だけではありません。
波子駅(無人駅)内には地ビールメーカー“石見麦酒”の醸造所や
羊の放牧場もやってきています。
これからがさらに楽しみなまちです。
江津市役所 農林水産課でプロジェクトのこれからについて伺いました。
「プロジェクト発足から約10年が経過し、苔を生産するだけでなく、
観光資源としての可能性も見出していきたい。」 とのこと。
江津の苔は地域経済、自然環境、そして世界を潤すことができるのか・・・・!
アツいぜ!江津!!
――――――――――――――――――――――――――――――――
ナミノコ雑貨店
島根県江津市波子町イ987
TEL 070-9034-8127
公式HP(https://www.naminoco.net/)
※店の前は道が細く、駐車場がございません。ご連絡の上でお越しください。
江津市役所 農林水産課 農業振興係
52 KOKE PROJECT
TEL 0855-52-7493
取材へのご協力、ありがとうございました! 心より、感謝申し上げます。