石見畳ヶ浦 ~夏休みなので、自由研究をはじめます~
2020年08月24日
石見畳ヶ浦 ~夏休みなので、自由研究をはじめます~
波の音。磯の香り。ふと、強く吹く風。
となれば、穏やかな海の風景が眼前に広がるに違いない。
なのに、これ。
なんだ、この不思議なポコポコ。
夏休み。
不思議に出会ったら始まってしまうのが、自由研究です。
さて、冒頭の写真から、8割方の方は火星のご紹介かと思われたとは存じますが、違います。
これは、浜田市(はまだし)にある「石見畳ヶ浦」(いわみたたみがうら)の風景です。
この不思議な景色の中には、中学校1年生の理科で登場する、地層、断層、化石、隆起、などなど、夏休みの自由研究にぴったりの不思議が詰め込まれています。
聞くより、習うより、見て、触れて、感じてみましょう。(それを画用紙1枚にまとめたら自由研究の完成です。)
「石見畳ヶ浦」へは、海水浴客賑わう国府海水浴場を、日本海沿いに東へ15分ほど歩くとたどり着きます。
「畳ヶ浦隧道」。ここが入口です。
見上げると、日本海の荒波によって削り取られた「海食崖」(かいしょくがい)とよばれる崖が。
ゴツゴツと様々な岩がむき出しになったダイナミックな崖ですが、よく見ると岩の一つ一つは丸みを帯びています。
ひんやりとした空気、強まる海の匂いに、反響する波の音。
ちょっとドキドキするようなトンネルを歩いて行くと、突然開けた場所が。
「賽の河原洞窟」(さいのかわらどうくつ)
波の力によって海食崖に作られる洞窟で、海食洞(かいしょくどう)と呼ばれます。
海に繋がる穴があり、そこから見える景色はシャッターポイント。
また、海の安全を祈願する観音様もいらっしゃり、独特の雰囲気が漂っています。
そして、トンネルの先。
海。
広がる景色のなんと開放的なこと。
振り返ると、海食崖の様子がよく見えます。
約25㎡もあるそうです。
さて、異国情緒すら感じる「石見畳ヶ浦」の不思議な景色を見て歩きます。
「石見畳ヶ浦」は、明治時代に起きた浜田地震により海底が隆起して現れたもので、平らに広がる波食棚(はしょくだな)は約4.9ヘクタールにも及びます。
東京ドームが約4.7ヘクタールなので、「東京ドーム何個分」と言われてもピンとこない皆さんは、石見畳ヶ浦来訪を機に、「畳ヶ浦何面分」という表現に変換されるのも、いいですね。
隆起(りゅうき)とは、土地が海面に対して高い位置になることで、土地が盛り上がったり、海面が下がったりすることです。その反対は、沈降(ちんこう)で、逆に土地が海面に対して低い位置になることです。テストに出ます。
つまり、元々海の中にあった土地が、地震をきっかけに、ぐぐぅ~っと盛り上がり、普通なら見ることのできない、遙か昔に降り積もっていた地面、そしてその頃の生き物の死骸(化石)や土地の様子などが見られるようになっているということ。
ここ、石見畳ヶ浦では、約1,600万年前に堆積した地層の様子もうかがい知ることができ、地質学的に大変貴重で、国の天然記念物にも指定されています。
「畳ヶ浦」という名前の由来にもなっている、人工的なものとしか思えない規則正しい大地の亀裂は、「節理」(せつり)と呼ばれるもので、大地が動くことによって生じたと考えられており、ここでは、その亀裂の様子が畳を敷き詰めたようにも見えます。
ここから、「石見畳ヶ浦」は「千畳敷」(せんじょうじき)や「床ノ浦」(とこのうら)とも呼ばれています。
自由研究ノートも大分埋まってきましたね。
それでは、いよいよ不思議なポコポコのご紹介。
これは、「ノジュール」という、貝の化石に含まれる炭酸カルシウムなどがしみ出して堅く固まったもので、波の浸食や風化を経てこのような不思議な形になったと言われています。腰掛けいすサイズで、だんだん可愛く見えてきました。
この地がかつては暖かな浅瀬の海だったことを伝える、様々な貝などの化石も点在し、その種類は40~50種類もあるんだとか。
また、流木や鯨の骨の化石なども見ることが出来ます。
が、3回訪れても全く発見できなかったので、本気の方は「浜田市観光ボランティアガイドの会」のガイドを申し込まれるのをオススメします。
私たちも勉強に訪れた「石見畳ヶ浦資料館」での事前リサーチも面白いですよ。
東京ドームより広い石見畳ヶ浦をずんずん進むと見えてくるのが、「馬の背」と呼ばれる高まり。
この近くに、「ハッピーシェル」と呼ばれるハート型に見える貝の化石があるとの口コミを得ましたが、それも見つけられませんでした。
通りかかった地元の方に聞くと、潮位が高いと見られないとのこと。
本気の方(二度目)は、潮位も調べてからベストタイミングで探索してください。
それでは、自由研究ノートがいっぱいになってしまったので、今回の探索はここまでにします。
まだまだ不思議がいっぱいの「石見畳ヶ浦」。
訪れる時期、潮位、運によっていつも新たな発見があります。
ステキな自由研究ができますように。