春の大根島
2017年05月21日
松江市八束町。
宍道湖と繋がる汽水湖・中海に浮かぶ島、大根島。4月下旬〜5月上旬になると、大根島は県内外からの観光客で賑わいます。
昭和の終り頃までは本土からの行き来には船が必要な離島でしたが、中海の干拓事業によって、今は車で行くことができる島になりました。
賑わいの理由は、牡丹。
面積は約6.78㎢と小さな島ですが、牡丹の生産量は国内1位。
春の大根島には、様々な品種の牡丹の花が咲き揃い、そこかしこに良い香りが漂います。
富貴花、百花の王とも称される牡丹。4月末、私たちも牡丹の島を歩いてみることにしました。
大根島の長閑な景色の中に広がる、牡丹の畑。それぞれの畑に、色取り取りの大輪が咲いています。
その色形は様々で、見飽きることがありません。
風が吹くたびに立ち上がる香りにも、うっとり。牡丹の美しさに、すっかり魅了されてしまいました。
350年の歴史を持つ大根島の牡丹栽培。大根島の古刹・全隆寺の住職が遠州(静岡県)から土牡丹という品種を薬用として持ち帰ったのが始まりと伝わっています。
大根島は火山島のため、火山灰の土質が牡丹栽培に適しているそうです。
火山島?!訪れてみると分かりますが、島に高い山はありません。唯一小高い丘、標高42.2mの大塚山がありますが、実はこれが大根島の火山。日本で最も低い火山の一つです。
牡丹畑後ろに見える大塚山
20万年前、噴火した際には今よりもずっと海面が低かったそうですが、その後の急激な海面上昇によって緩やかな丘の島が形成されました。
大塚山には現在、大塚山公園が整備されていて、桜の名所にもなっています。
訪れたときには桜は終わっていましたが、のんびり過ごすことができそうな芝生の広場や、グリーンステラという展示温室もありました。
大塚山公園
☆大塚山公園について⇒松江観光協会 八束支部「観光案内」
☆グリーンステラいついて⇒松江観光協会 八束支部「グリーンステラ」
それから、ここは大根島で一番高いところ。
島を見下ろすことができます。
火山の上に立っているとはどうしても思えない...静かで穏やかな場所です。
大根島の黒っぽい火山灰土は、この大塚山の火山灰によるものなのですね。
と思いきや...!後から島の方に伺った話によると、大山の噴火による火山灰や三瓶山の火山灰も、この大根島には降り積もっているのだそうです。
この土質を活かして、明治中期になると島内の農家でも栽培が始まります。
本来は栽培に歳月を要し量産が難しい牡丹ですが、昭和30年代に芍薬の苗木に芽を接ぐ接木技術を開発したことで生産力が向上し、島の女性たちが行商として日本全国へ"大根島の牡丹"を売り歩いたことによって有名になり...
その後も品種改良や技術開発等、島民の努力の結果、大根島は日本一の牡丹の島になりました。
今では350種以上の牡丹が栽培され、新品種の開発だけではなく希少品種の保存にも力が入れられています。その多彩な品種や苗木の品質の良さから、大根島の牡丹は日本だけでなく世界でも高く評価されているそうです。
道すがらに牡丹を眺めて歩く時間。
赤、ピンク、紫、白、黄色、色だけでなく、花の形も本当に様々。どれも華やかで、気品に満ちていて、素敵です。
自分のお気に入りの品種を見つけてみるのも楽しいですよ。(「牡丹一覧」松江観光協会 八束支部)
私のお気に入りは、この可憐な黄色の牡丹。
いや、紫の風格も捨てがたい・・・いやいや、やっぱり・・・ピンク色の・・・
可憐な黄色(大根島の牡丹)
紫の風格(大根島の牡丹)
ピンク色(大根島の牡丹)
そうこうしている間に、良い風が吹いてきて・・・あぁ、うっとり、良い香り・・・
大根島には、牡丹の展示施設、牡丹園もいくつかあります。
☆大根島の牡丹園について⇒松江観光協会 八束支部「牡丹園」
牡丹の販売やぼたん祭りも開催され、春の大根島は匂い立ち、賑わいます。
皆さまも是非、賑わいの先へ。日本一の牡丹の島・大根島へ。