断魚渓に惚れ惚れし...
2016年12月28日
紅葉の時期に訪れた、邑南町の『断魚渓』。
その風景のあまりの格好良さは、訪れた私たちの心を一瞬で掴んでしまいました。
目に映る景色に、思わず出る言葉は、「カッコいい...」「あぁ!カッコいい...」。
しばらくその言葉しか発していなかったことに気が付かなかったくらい、圧倒的な自然美。
川本町から国道261号線を邑南町に向けて走ること約15分。断魚トンネルのすぐ手前に走る濁川(にごりがわ)沿いの道を進んだところに、その秘境はあります。
(邑南町側から進んだ場合も、同じく断魚トンネル手前に濁川沿いに折れる道があります。両方向に『断魚渓』の看板が立っています。)
約3,000万年前の火山活動によって流れ出たマグマが冷え固まった流紋岩が、於保知(おおち)盆地を流れる江の川の支流、濁川の流れに浸食され出来上がった渓谷。
中国山地の隆起も加わり、急崖が発達し形成された4kmにも渡る深いV字谷は、自然の彫刻と謳われる、国の名勝です。
平成25年の水害により、断魚渓の遊歩道は一部立入禁止になっていたのですが、"少しだけでも歩いてみることができれば"と思い行ってみたところ・・・
駐車場で声をかけてくだった親切な地元の方から、「昨日から全部歩いて通れるようになったんですよ。」と驚きの情報が!!おすすめのルートまで教えていただき、「楽しんできてね。」と優しい笑顔に送り出された私たち。
温かいおもてなしの気持ちと、思いがけない幸運が合わさって...
断魚渓を目にする前から、「じーーーん」と感動。邑南町って、本当に良いところです。
そんな喜びを胸に、
断魚渓駐車場近くの『公園コース入口』から断魚渓へと降ります。
断魚渓を周遊するルートは、中国自然歩道のひとつとして整備されていて、比較的しっかりとした歩道が付いています。
【中国自然歩道『断魚渓・千丈渓コース』】
紅葉の季節。
展望地へと渡る橋から目を惹いたのは、渓谷の中にポツリと際立つ黄色の木。断魚公園のイチョウでした。
紅葉の名所としても名高い断魚渓。素晴らしい景色に迎えられ、まずは公園内を散策。
荒々しい渓谷をイメージして来ましたが、途中にこんな公園があれば、安心して訪れることができますね。(公園には公衆トイレも設置されていましたよ。)
上流へ歩くと見えてくるのが、『神楽淵』。
地元の漢学者野田慎が『断魚渓題詠集(明治21年)』に著した「断魚渓二十四景」の中のひとつ。
(そうです。代表的なところだけでも、断魚渓には24箇所もの素晴らしい景観があるのです。)
岩棚が神楽の舞台のように見えるこの淵から、渓流の様相が変わります。
すぐ上にあるのが断魚滝。
急流が魚の遡上を遮ることから、「断魚渓」の名が付けられたと聞きます。
目線をふと上に上げれば、荒々しくも美しい、断崖。
轟々と流れる水の勢いと、そびえる絶壁に、しばし脱力・・・
圧倒的な自然の力を目前にすると、どこかほっとするような、清々しい気分になれるのですね。
それから稲荷神社を抜けて辿り着いたのが、二十四景の中でも有名な『千畳敷』です。
浸食され露出した、平らな岩盤が広がるこの場所。驚くことに、この上は歩くことができます!
自分がまるで渓谷の中心にいるかのような、ぐるり絶景に囲まれる感動。
近づいてみると、岩肌が様々な模様をなしていることが良く分かります。
非常に硬く、水が浸み込みにくく浸食されにくい流紋岩ですが、濁川の勢いはそれに勝り、断層や節理も相俟って、様々に、力強い自然の動きが刻まれています。
千畳敷の中を、直線に走る水の流れがありました。
『岩樋川(いわひがわ)』。
節理による亀裂に急流が切り込んでいったことで直線的に出来上がった、約1~2mの自然の水路です。
これが、まるで測ったかのように生み出されているのですから...
自然は本当に不思議で、偉大です。
最後に、駐車場で出会った地元の方おすすめの『嫁ヶ淵』を眺めます。
紅葉を綺麗に見ることができる、本当に良い場所でした。
『断魚渓』。多くの方にお勧めしたい、惚れ惚れするほどの絶景です。
自然の渓谷のため、雨による増水には注意が必要です。天候の悪いときには、無理な散策はお控えください。上の町道からも充分に良い眺めを見ることができますよ。
お天気の良いときは、歩きやすい履物、動きやすい服装で、絶景の『断魚渓』をお楽しみください。