あの人を誘って歩こう! 《鬼の舌震》 ~美しいVの峡谷・神話の世界~
2016年05月12日
奥出雲のまちから少し車を走らせるだけで、自然のなかを気持ちよく歩ける場所があるんですよ!
『鬼の舌震(おにのしたぶるい)』という所。
斐伊川支流の大馬木(おおまき)川の流れに、黒雲母花崗岩が削られ・削られ・・削られ・・・
断面が、深くV字形にえぐられた、V字谷です。
水瓶岩(はんどいわ)とV
名前がすごい・・・鬼が舌を震わせるほど恐ろしいところ?! と思いましたが、違いました~。
ここは出雲國風土記の神話の舞台で、この名前はそのお話に由来していました。なかなか切ない恋のお話です。
ワニ(昔はサメをこう呼んだ)がここに暮らすお姫様に恋をして、日本海から夜な夜な斐伊川を泳いで会いに来たものの、悪いワニは嫌われ川を巨岩でせき止められてしまった。それでもますますお姫様を慕うワニ。ワニガシタウ ⇒が オニノシタブルイになった、と言われているのですね。
大馬木川沿いにのびる2km余りの遊歩道は整備されてバリアフリー。
川の上流と下流側にある遊歩道のスタート地点にそれぞれ駐車場があって、
どちらも広い道からアクセスできます。
ようこそ」とネコが迎えてくれました
水の流れ、音に癒されながら進む散策ルートには、名前がつけられるほど"個性"豊かな巨岩、奇岩たちが次々登場して飽きることがありません。
長淵
水の流れ、音に癒される
岩の見どころとしてはハイライトとも言える『水瓶岩(はんどいわ)』はおおよそ中間地点にあるので、この辺りで折り返して次回反対側からもう半分、というふうに分けて訪ねるのもありですね。
実際私たちは、2013年に完成した高さ45m、長さ160mの『舌震"恋"吊り橋』をぜひ渡ってみたい!ということで今回は下流側の宇根駐車場から散策をスタート、『水瓶岩』を見て折り返しました。
《舌震"恋"吊橋》
《水瓶(はんど)岩》
昔、水を入れていた水瓶のカタチに見える。およそ30mの高さに独立して立っています!
水瓶岩遠景
水瓶岩
水瓶岩
《おおよそ中間地点にある水瓶岩や休憩所のあたり》
こちら側からのルートには、バリアフリーの遊歩道ともうひとつ、
中国自然歩道≪鬼の舌震周遊モデルコース≫でもある、以前からの遊歩道もあります。
今回はこの中国自然歩道の道から水瓶岩まで、帰りにバリアフリーの遊歩道を進み、最後に"恋"吊橋を渡りました。
中国自然歩道の道は階段もあるしやや注意して歩かないといけませんが、川に近いので、バリアフリーの遊歩道と上下で目線の高さを変えることで見え方も変わり、おもしろかったです。
以前からの遊歩道
川を近くに眺めながら
以前からの遊歩道は中国自然歩道の道
事前に用意した散策マップを片手にいきましたが、名前がつけられた岩の観賞スポットには表示もありました。名前と岩を見比べ「なるほどね」「おもしろいね」会話も弾みます。
もはや写真だらけですが名前のついた岩をいくつかご紹介します。
《烏帽子岩》昔の男子の礼装時の被り物"烏帽子"に似ていることから。
《雨壺》岩のなかに直径2mの円いくぼみがある。別名"姫の湯殿"
《小天狗岩》
高さ60mにおよぶ大絶壁。烏帽子を被り、口を突き出した烏天狗(からすてんぐ) に見える。
《鬼の落涙(おにのらくるい)岩》
顔! 2つの穴は眼に見え、そこから水が流れる様は、まるで姫に嫌われた"ワニ(鬼)"が涙をこぼすように見える。
自然は自然界の事情でこうなったのかもしれないけど、それにしても意図せず絶妙に配置してみせてくれるし、そこにストーリーを生み出し、岩に名前をつける感性、想像力をもつ人間もすごいなあ。
よく晴れた日で、何もかもがキラキラ美しく、気持ちのいい散策を楽しみました。
バリアフリーの遊歩道
おおよそ中間地点の休憩所付近
いざ!と気合を入れなくても気軽に大自然のなかへ。
登山や距離のあるトレッキングは苦手・・という人や、小さな子供や高齢の方、車イスで移動する方も楽しめそうです。
老若男女、アウトドア派、 インドア派、 自然派、シティ派、すべての嗜好のひとが交われる程いいレジャースポットでは?!と思いました。
お楽しみにとっておいた"恋"吊橋で最後のひと盛り上がり。
大満足の笑顔で駐車場に戻り、美味しいランチを求めてまちへ戻っていきました。
そう、奥出雲町にはお米やおそばを始め美味しい食べ物がたくさん。
おなかを空かせるため、または腹ごなしで体を動かすのにも、ちょうどいい所だと思いますよ!