NO KOKE,NO LIFE.

県の西部、中国地方最大の河川、江の川を中心として、北は日本海
南は中国山地の北側に位置する、県内の市では最も小さく人口が少ないまち・江津市(ごうつし)。

東京からの時間距離がいちばん遠い市、と話題になったことも。

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(江津市波子(はし)町の赤瓦屋根と日本海)

その江津市で取り組まれている『52 KOKE PROJECT』(ごうつコケプロジェクト)。
平成27年に発足し、自治体、企業、生産者、コミュニティが連携し、
江津の「苔」のブランド力を高めています。
 ⇒52 KOKE PROJECT  https://52kokeproject.jp/


“生産者・地元の企業・行政が一体となって取り組み、
地方創生6次産業モデルとして「江津のコケで世界を潤す」をビジョンに、
癒しと新しい暮らしを提案し、地域の活性化を目指すプロジェクト。“

 

へー。 江津でコケ…。 ??
コケ。あの庭に生えている苔を?栽培?? 江津で?????
まちなびスタッフは、たくさんの“?”を携え、江津市へ。

まずは江津市農林水産課でお話を伺いました。


江の川を抱く江津市の、水資源に恵まれた環境。
山間部は年間を通じ湿度が高く、苔の栽培に適した条件が揃っています。
そして、狭い場所でも育つ苔。
資材が軽くて高齢者や女性も作業がしやすい苔。

そう、江津市は、苔栽培のベストスポット!


耕作放棄地の解消や、地域内発型の新たな産業創出を目指すこのプロジェクト。
実は江津市での苔栽培は、まさに身近な地域資源を活かすということ。

江津市×苔への興味が高まってきました。

さて、市役所でご紹介いただいた苔生産者の会員・河村正樹さんを訪ねて、
江津市波子町にある、“ナミノコ雑貨店へおじゃましました。
 ⇒ナミノコ雑貨店 https://www.naminoco.net/

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こちらが店主の河村(かわむら)正樹さん。
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河村さんは広島県から約7年前に江津市に移住。
苔の生産~販売、お店で苔テラリウム体験教室もされています。

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店内では、ご近所の方が制作したドライフラワーのブーケや雑貨、ペット用品の販売、
お店でカフェもされ、ゆずPUPUという地元産の柚子を使った
おつまみも販売されています。(これが美味しいんですよ!お酒に合う!)
https://www.naminoco.net/yuzupupu
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苔テラリウム体験!

さて、苔のお話を伺う前に苔テラリウム体験!

 

苔テラリウム― 中が見える透明なガラスやプラスチック容器などの中に
2,3種類の苔や植物、動物のフィギュアを入れ、自分オリジナルの箱庭を作る。

 

店内にはたくさんの苔テラリウムが置いてあります。小さな瓶から大きな水槽まで。
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河村さん)苔… 苔テラリウムとか、見たことありますか?

まちなび)なんとなく…。ずっと気になっていたんですけど、近くで苔を
     取り扱っている店を見ないですね。

河村さん)東京や大阪以外はそんなにないですね。ちらほらありますけど、
     なかなか苔の扱いは難しいのでね。

河村さん)では、今日作ってもらうのはこういう感じのもので、瓶はこのサイズですけど
     小学校低学年さんでも、最終的にカタチにして帰られるので。
     難しく考えなくて大丈夫です(笑)

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まちなび)じゃあ… 大丈夫かな(笑)!

 

それでは始めていきましょう!

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(使う苔、石、小さい動物のフィギュア)

 

テーマ… 大自然。

 

河村さん)まずはテーマ(レイアウト)を考えてみましょう。
     ただ土を入れて苔を置くのではなく、どんな瓶にどう土や石を入れて
     苔をのせるか。

河村さん)それでは、土を敷いていきます。先に荒い(大きい)石を入れて、
     その上に細かい石や砂を入れると…

まちなび)下に落ちちゃいますね。

河村さん)そう。だからまず細かい土を敷いていきます。
     平らでもいいけど、土を斜めにすることもできますよ。

まちなび)斜め、かっこいい!

河村さん)瓶の3分の1が土、3分の2を空間にすると見た目がカッコイイですよ。

 

細かいアドバイスをいただきながら、真剣に作業を進めていきます。

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河村さん)…こういう細かな作業でその人の性格がでます…(笑)

 

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レクチャーを受ける毎に、冗談交じりで指導してくださりとても楽しい!面白い!

土台ができたら大きめの石をバランスよく置く。

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平たい苔を敷く。背の高い苔はピンセットと長い柄のスプーンを使って土に刺す。

粒状の白い石を… 苔にかからないようスプーンを使ってパラパラパラ… と。
最後にフクロウをピンセットで乗せて。

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少し体裁を整えてもらい、スタッフのイメージどおりの苔テラリウムが完成!

 

今後の苔の扱いを教えていただきました。

苔の一番の敵はカビと日光。あと、置き場所に注意が必要。
日光で瓶の中が蒸れてしまうと良くない。
蛍光灯などの灯りはいいけれど、直射日光に当てないほうがいい。
エアコンの風が直接当たらない場所に置く。
2週間に1回水やり(霧吹き)を。
白い綿のようなモノがカビ。綿棒で取るか…専門の方にヘルプを求める。

上手に扱うと、苔は成長していくそうです。
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江津市へ移住


ひと息ついたところで、なぜ、広島から江津へ移住され、
なぜ苔に携わろうと思ったのかをお聞きしました。

- 移住を考えていて、海のそばに住みたいと思っていたんです。
今から7年ほど前に江津市に移住してきましたが、来る少し前から、江津が
「52 KOKE PROJECT」として、苔を農業の品目として推していこうとしていて、
他(の都道府県)でも“苔”で農業、というところは聞いたこともなかったので
「やってみようかな。」と思ったんです。

江津市は、江の川やその支流が多く、山が多く平地が少ない。
農業をするにも農地面積が少ない。日照時間が短い。が、豊富な水、山が多く
霧が発生しやすい地形や環境のおかげで、美しい苔が自生しています。

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(条件がありますが)置いておくだけで育つというメリットもあり、
生産者の数は少しずつ増えています。
他の農業は、一から始めるとお金も労力もすごくかかるけれど、
苔は取り組む規模によって自由にできるので。
苔の生産管理は簡単にできるか、難しいかと言われると、作るのは
「そんなに難しくはない」です。
技術的にまだわからないこともありますが…。

ただ、課題はあります。

例えば、野菜みたいに農協などに出して流通させれば売れるけれど、
苔はそういう手段がないので、自分で販路を探さないといけないんです。
だから、こういう苔テラリウム体験教室やお店をやっています。
お声がかかったら出張も行きます。

波子町には移住してきた方が多く、河村さんもその一人。
伺ったときにご近所の女性がお茶をしにいらっしゃいました。
その方も広島県からの移住者。


このまちにやってきているのは、人だけではありません。

波子駅(無人駅)内には地ビールメーカー“石見麦酒”の醸造所や
羊の放牧場もやってきています。

これからがさらに楽しみなまちです。

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江津市役所 農林水産課でプロジェクトのこれからについて伺いました。
「プロジェクト発足から約10年が経過し、苔を生産するだけでなく、
観光資源としての可能性も見出していきたい。」 とのこと。

江津の苔は地域経済、自然環境、そして世界を潤すことができるのか・・・・!

 

アツいぜ!江津!!

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ナミノコ雑貨店
島根県江津市波子町イ987
TEL 070-9034-8127
公式HP(https://www.naminoco.net/)
※店の前は道が細く、駐車場がございません。ご連絡の上でお越しください。

江津市役所 農林水産課 農業振興係
52 KOKE PROJECT
TEL 0855-52-7493

取材へのご協力、ありがとうございました! 心より、感謝申し上げます。