しまねまちなびの"市町村情報コーナー"では、島根県内の市町村のパンフレットを自由に見て、持って帰る事ができます。各市町村の紹介パンフレットから、様々な施設のもの、マップ、公共交通機関の時刻表など、その数750種類以上!!

飯南町の美味しいお店はどこかな?とか、どこかに素敵な景色の所はないかな?とか、温泉に入りたいけど、何処にどんな温泉があるのかな?など・・・きっと参考になるものが見つかると思います。

市町村情報コーナーの様子

しまね市町村ナビ情報コーナー

その"市町村情報コーナー"の数あるパンフレットの中から今回ご紹介したいのが、江津市コーナーにある、桜江町の『大元神楽伝承館』です。

江津市コーナー

わたくし、毎日パンフレットの管理をしておりますが、正直、この『大元神楽伝承館』を手に取る方は少ないような・・・今思えば、私もじっくり見ていませんでした。

ところが最近、石見神楽というものに興味を持ち始め、あらためて大元神楽とは何ぞや、とこのパンフレットをよく読んだところ、この大元神楽、現代の神楽のまさに大元。日本(石見地方)古来の神楽の形を継承している大変貴重なものであり、特に桜江町の大元神楽は国の重要無形民俗文化財にも指定され、6年に1度しか行われないものらしいことが分かってきました。

そしてそして、なんと!その貴重な大元神楽が、今年(平成30年)11月に行われるという情報が入って来たのです。

これは是非、大元神楽を知らない人にも、大元神楽とは何なのかを、お伝えしよう!そうだ!実際に江津市へ調べに行こう!

・・・というわけで行ってきました。

『大元神楽伝承館』です。

大元神楽伝承館(外観)

ん?この建物?と一瞬迷いますが、かつては小学校の校舎だったとか・・・。

看板もちゃんとあります。

大元神楽伝承館(入り口)

内部は・・・まさに小学校ですね。

大元神楽伝承館(内部)

1階の廊下の奥に『大元神楽伝承館』はありました。

大元神楽伝承館(展示室入口)

中に入ると、大元神楽にまつわる数々の資料が展示されています。

神楽面(すごい迫力...)

大元神楽神楽面1

幣(かなり大きなものもあるんですね。)

大元神楽伝承館幣

神楽が舞われる舞台も復元されており、お供えものまでありました。

大元神楽伝承館(舞台)

大元神楽伝承館(お供え)

実際に舞われる際には、笛や太鼓の和やかな雰囲気の中を、40をも超える「海のもの」「山のもの」のお供え物が献じられていくそうです。すごいボリュームですね。


大元信仰とは、恵みを与えて下さる神さまへ感謝の気持ちを表し、神さまを奉ることから、自然に行われるようになったと考えられ、特に農山地では、大切な神様として信仰され広まったそうです。桜江町の大元神楽は、六年に一度の神楽年に田畑での収穫を終えた晩秋の頃、夜を徹して行われます。大元神楽は、神さまをお招きし、楽しんでいただき、そして神さまのおつげをいただくまでが一貫して舞われます。神さまから言葉をいただくという託宣の儀のあるのが、一般の神楽には見られない大きな特徴です。

 

演目は、神さまをお迎えに行き、舞殿までお連れする"神迎え"から、舞殿の四方を清める"四方堅(しほうかため)"、先述した、神さまへの捧げ物をお供えする"献饌(けんせん)"その他、神殿に下げられた九つの天蓋をまるで神さまが舞っているかのようにあやつる"天蓋"、藁蛇(託綱)が現われる"綱貫(つなぬき)"さらには"恵比寿""八咫""塵輪"などなど最後の"神送り"まで、その数は実に30以上!!

時間にすると、9時間30分にも及びます!!

 

『大元神楽伝承館』ではこれらの演目1つ1つについての説明や、"綱貫(つなぬき)"の模型などもありました。

大元神楽伝承館(展示)

大元神楽伝承館(綱貫模型)

またモニターが設置され、最近では舞うことが少なくなった演目の再現をした映像や、昭和51年に国の重要無形民俗文化財に選ばれた時の記録映像を観賞する事もできます。


大元神楽は徳川時代にはすでに現在の形で行われていたとか・・・。明治時代になると、神職の舞は禁じられ、神がかりも禁じられましたが、桜江町などの山間地域では目も届きにくかったため、密かに受け継がれてきたようです。

なかでも託宣の儀のある神楽はほとんど失われてしまった為、この希有な神楽は、昭和54年になると、逆に国の重要無形民俗文化財として指定を受けることになったのですね。

これほど伝統ある神楽ですが、それぞれの土地の神様に捧げられる神楽という性格上、その土地を離れて演じられることがなく、他の地域ではその存在を知る人が少ないのも特徴といえるそうです。

 私も恥ずかしながら、今回江津市を訪れるまで、大元神楽についてはほとんど何も知りませんでした。
お祭りなどで舞われる、エンターテイメントとしての神楽は、島根県民であれば一度は見たことがあると思いますが、神様を祭り、お迎えし、神様に楽しんでいただき、感謝する、その土地の信仰と生活に深く関わってきた神楽。そんな日本古来より伝わる神楽本来の姿を、現代でも受け継ぎ、見せてくれる場所が島根県にあるんですね。
島根県内には、まだまだ知らない魅力が沢山隠されているようです。

 そんな秘密のベールに包まれた、貴重な神楽が、今年(平成30年)の11月17日(土)、江津市桜江町で6年ぶりに行われるということですので、興味のある方は必見ですね!

 大元神楽伝承館について詳しくは⇒江津市観光協会「江津市観光サイト」へ