神々をお迎えする聖なる山で
2016年10月12日
旧暦の10月、毎年出雲の国では、縁結びなど様々なことを話し合う神様の会議が行われるといわれています。そのため全国から来られる八百万(やおよろず)の神々をお迎えする神迎神事が、旧暦10月10日、出雲大社から西へ1kmの稲佐の浜で行われていますが、
飯南町では昔から、神々はまず『琴引(ことびき)山』の山頂に降臨され、この山から神戸川(かんどがわ)を日本海へと下り、稲佐の浜にお着きになると言い伝えられてきたそうです。
そして毎年9月23日には山頂付近にある「琴弾山神社」で例祭が、山頂では神々をお迎えする山を清める神迎祭が行われるという話をきいた我々まちナビスタッフは、その日にあわせたツアーに加わり、一緒に山に登ってお祭りに参加することにしました。
琴引山という名前の由来は、「出雲国風土記」によると、
この山の岩窟に大国主命(おおくにぬしのみこと)の琴が納められているといわれているからなのだそうです。大国主命はスセリ姫とともにこの山に登られ、琴を奏でながら国造りの構想を練ったといわれています。
また「琴弾山神社」は、両側に巨岩がそびえ立つ参道は"産道"を表しているいわれ、飯南町では小さな子どもの「疳の虫」「ひきつけ」のことを「ちりけ」と言うのですが、この「ちりけ」封じや安産に霊験あらたかとされているそうです。
今年は9月22日(木)が秋分の日だったため、この日が例祭の日となりました。
さて、当日の朝は、雨。 小雨じゃない。雨。
ツアーは中止になりましたが、お祭りはあるかもしれないので、まちナビスタッフ2名ひとまず、集合場所であり登山の出発点である『琴引フォレストパークスキー場』の駐車場まで来ました。
雨は、降っています。
半分とちょっと中止の確認のつもりで、この日のことを紹介してくださった方に連絡をすると、宮司さんや青年団の皆さん、個人参加の方はすでに琴弾山神社まで来ておられたり、登山を開始されているとのこと。
「よかったら待ってますよ」。
「・・?」 「・・?!」「・・・。」「!」「!!」
ということで、えぇぃっとリュックと傘を車に残し、
カメラ、ペットボトル、おにぎり・・・荷物は最小限にしてカッパ隊となり、お祭りに間に合うよう急いで追いかけることにしました。
標高1,014m。ここから行くルートの山頂までの目安の時間は1時間から1時間30分。
まずはスキー場を見上げて左側にあるリフトに沿ってあがります。
リフトの終点から更に10mくらい行くと左手に登山口があり、登山道がはじまるのですが、ここまでがけっこうキツかった。
そこからは雨のため、ぬかるみや水が流れて歩きにくいところもあったものの、
身軽で体調もよかったからでしょうか、順調な足取りで進みました。
しかしこの道を "ちりけ封じ" の祈願に参拝されるご家族は小さな子どもを、青年団の方々はお祭りに必要な様々なモノを背負って山を登られるのですよね。。
雨で水分をたっぷり含んだ木々の緑、とても美しかったです。
琴引山では大きく感動する場所が3つありました。
大きな木の根っこをヨイショと越えると、感動ひとつ目の"気配"がしてきました。
「大神岩」
大国主命が弾かれた琴が納められている可能性があると伝わる場所のひとつです。
神々をお迎えする聖なる山であると予習していたけれど、この岩の前に立つとあらためて
"ここは神域である"とからだ全部に伝わってくるようでした。
もう少し進むと「琴弾山神社」に到着! 皆さんと合流しました。 お祭りにも間に合ったようです。
神社を見上げふたつ目の大感動のときを迎えました。
力強さ・・優しさ・・・そういうことばよりもっと・・・ことばにできない。
こういう感覚を抱くとき、ひとはそこを"パワースポット"と呼ぶのでしょうか。
あいにくの空模様のため、山頂で行われる神迎祭も今年は琴弾山神社で執り行われることになりました。
お祭りは厳かに行われました。
場が鎮まると同時にどこかおおらかで温かい雰囲気を感じ、とてもよい心持ちになりました。
お祭りの後は青年団の方々が用意してくださった温かな豚汁がふるまわれました。ポケットにはおにぎり。それはもう・・ありがたくいただきました。
人心地がつくと、せっかく登ってきたのだからと、何人かで山頂へ向かいました。
神社の裏から5分程だったでしょうか。
ちょうど雨があがり、登山を開始したスキー場の駐車場や、雲の切れ間から飯南町の町並みも見ることができました。晴れていれば三瓶山も望むことができるそうですよ。
山頂からの眺め。眼下に琴引フォレストパークスキー場が見える
琴引山山頂。宝きょう印塔があった。
琴引山山頂からの眺め。飯南町の町並みが見えた。雲がなければ三瓶山も見えるそうです。
宝きょう印塔もあります。いつ誰が建てたのかいまもはっきりとはわかっていないそうです。
今日は石に感動する日です。
ここに全国の神々がお着きになるのですね。
山頂に立つとやはり登山の達成感があります。3つ目の感動はここ、山頂です!
広島から参加された方、小さなお子さんをおぶって山を登られたご家族、
青年団の方や取材で来られた記者の方など、縁あって山の上で集い、
厳かにそして和やかな時間を過ごしたことは思い出に深く残る得難い経験になりました。
小さな子どもを連れてお参りされた家族
帰りは皆で
荷物を手分けして背負っておりられます。
登りは2人だけのカッパ隊、小雨のなかやや不安で必死でしたが、下りのときは雨もあがり、皆さんとにぎやかに。楽しく終了となりました。
すぐには帰りません。温泉へ行きます!
車で約10分の『頓原天然炭酸温泉 ラムネ銀泉』。
鉱泉水に炭酸ガスを含む日本有数の「炭酸泉」です。
炭酸の濃度は日によって変わるため透明、グリーン、オレンジ・・・などと7色に変化するそうです。少し肌にピリッシュワッを感じましたよ。比較的ぬるめのお湯なので、いつまでも浸かっていられました。湯上りにはラムネ銀泉名物 オリジナルサイダーの「頓原銀泉」をゴクリ☆ ぷは
今日結ばれたすべてのご縁に感謝します。
〔☆琴引山 (島根県飯南町 公式観光ガイド 飯南さとやまにあ)〕
〔☆頓原天然炭酸温泉(ラムネ銀泉)(島根県飯南町 公式観光ガイド 飯南さとやまにあ)〕
琴弾山神社
御本殿側から参道をみる