ホーランエンヤ2019
2019年05月22日
ホーランエンヤ2019
2019年は、松江市で10年に一度の“ホーランエンヤ”が行われる年。
“ホーランエンヤ”とは、「松江城山稲荷神社式年神幸祭」のこと。
その内容を簡単にいうと、
1.松江城山稲荷神社の御神霊を、約10km離れた東出雲町の阿太加夜神社に船で運び、
2.7日間にわたって五穀豊穣や市民の幸福を祈願。
3.再び稲荷神社に船で還る。
・・・というもの。
起源は370年前!!時の松江藩主松平直政公が天候不順による大凶作を心配して行ったのが始まりとか・・・。古くから日本三大船神事の一つといわれる全国最大級の船祭りです!
全9日間にわたって執り行われるこのお祭り。
見所は◎御神霊を阿太加夜神社までお運びする「渡御祭(とぎょさい)」。◎阿太加夜神社での7日間の大祈祷の中日におこなわれる「中日祭」。◎御神霊が城山稲荷神社にお還りになる「還御祭(かんぎょさい)」の3日間。
このお祭りに船を出す地区は“五大地”と呼ばれ、大橋川周辺の馬潟、矢田、大井、福富、大海崎の5つの地区と決まっています。
何が見所かと言えば、約100隻にも及ぶ豪華な船行列!
中でも、松江市指定無形民俗文化財の「櫂伝馬踊り」が船上で披露される櫂伝馬船は必見です。
ホーランエンヤの起源など詳しくは⇒ホーランエンヤ2019公式ホームページ
そんな松江市の宝ともいうべき“ホーランエンヤ”。
これは絶対見に行きたい!ということで、今回まちなびスタッフは「中日祭」に行って来ました!!
「中日祭」では、各地区の櫂伝馬船の乗り手達が車輪のついた陸船に乗り替え、陸上でも櫂伝馬踊りを披露しながら阿太加夜神社に向かいます。
<5月22日>
「中日祭」当日。
~午前10時前~
阿太加夜神社の境内には既に多くの人が集まり、中日祭の祭典が始まるのを今か今かと待っていました。
ほどなくして、社務所から数人の神職の方々が・・・本殿へと向かいます。
~午前10時~
いよいよ祭典の始まりです。
祭典は本殿の中で厳かに行なわれます。沢山のお供えが運ばれるのが垣間見えましたが、中の様子はほとんど分かりません。五穀豊穣や国民の健康、幸せが祈願されているのでしょう・・・。
3~40分後、祭典を終えた神職や関係者の方々が本殿より出て来ると、入れ替わりに背中に二重亀甲に《有》文字紋の法被を着た、阿太加夜神社氏子の皆さんが本殿の前に進み出ます。
伝統の、景気づけの唄「木遣(や)り唄」を奉納。
“御座船を迎え入れる準備が整ったぞ”という雰囲気です。
祭典に続き出雲郷(あだかえ)橋付近の意宇川においては、櫂伝馬船による櫂伝馬踊りが披露されます。私達が阿太加夜神社の祭典を終えて向かった時には、出雲郷橋上、護岸共にすごい数の観衆が!始まる前から会場の熱気もすごい!!
(後からわかったことですが、この日は6万人の観客数だったとか!!!)
何とか写真が撮れる場所を確保して、櫂伝馬船のスタートを待ちます。
~午前11時40分~
櫂伝馬踊りがスタートしました。
まずは、五大地“大海崎(おおみさき)”の櫂伝馬船です。
続いて“大井”
“福富”
“矢田”
最後は“馬潟(まかた)”です。
それぞれに出雲郷橋前で円を描くように2周し、観覧時間は30分ほど。
きらびやかに飾り付けられた船、力強い歌声、一糸乱れぬ漕ぎ手の櫂さばき、歌舞伎役者風の「剣櫂(けんがい)」や、女形「采振(ざいふり)」の踊りなど、目の前で繰り広げられる非日常的な光景に見入ってしまいます。
歌も踊りも飾りつけも五大地それぞれに特徴があり、櫂伝馬船が前を通るたびに拍手や歓声が起こります。
そして意宇川での披露が終わると、踊り手達は櫂伝馬船から陸船に乗り換え、阿太加夜神社まで陸上を進みます。
陸上では船が近い!!
すぐ横を通過する為、剣櫂(けんがい)や采振(ざいふり)の表情、細かな動作も見ることが出来ます。
当然かもしれませんが、皆さん真剣そのもの。
この日は日差しもきつく、衣装を身に着けて長時間にわたり演舞するのは、かなり大変だったと思いますが、若い少年たちも一心に自分の役に取り組んでいてただただ感動。
そうこうしているうちに、船は阿太加夜神社に到着。
最後はそれぞれの地区が、神社の境内で踊りを奉納します。
・・・以上が「中日祭」の大まかな流れです。
今回大きな事故やトラブル等なく、人々の感動と共に終了した中日祭。
終わった後はどことなく皆さんほっとされた様子でしょうか。
10年の歳月を経て、今回ホーランエンヤを執り行うにあたり、参加される各地区の皆さんがどれだけ練習されてきたのか、準備等でどれだけの方が関わってこられたのか、想像も出来ませんが、これだけの人を魅了し、感動させるものにするためには、それはそれは大変な努力と苦労があったのだろうという事はわかります。
同時に、どれだけ大変であっても、ホーランエンヤを守り伝えてきた、5大地と呼ばれる地区の皆さんの“誇り”を強く感じました。
ホーランエンヤは正にこの“誇り”が繋いできた伝統とも言えるかもしれません。
そんな事を思いながら、次のホーランエンヤが行われる10年後の自分はどうなっているのかな~なんて事も想像しながら、帰路についたのでした。