あめ色の宝石!畑(はた)地区のほし柿
2023年12月19日
あめ色の宝石!畑(はた)地区のほし柿
いよいよ紅葉シーズンに突入した10月27日(金)。
まちなびスタッフは、島根県松江市東出雲町に車を走らせていました。
行き先は、「畑(はた)地区」と呼ばれる東出雲町上意東のほし柿畑――。
その日、畑地区では「神在月に集う畑(はた)のほし柿づくり体験」というイベントがありました。
企画したのは【おせわさん(一般社団法人Expe)】という、松江市殿町に拠点をもつおせわさんセンターの皆さんです。
(おせわさんセンター 外観・内観(場所:松江市殿町))
ここは、「松江を愛する地元の人がアクティビティを考え、あなたの友人のように、最高のおもてなしをする」
というコンセプトのもと、訪れた方々に松江市の魅力を体験して感じてもらう活動をされています。
今回、おもてなしをしてくださる「おせわさん(地元の人)」がいる場所は、東出雲町上意東畑地区。
(柿畑の入口)
畑地区は、全国でも「ほし柿」の産地として有名な地域です。その歴史は古く、およそ450年前の戦国時代までさかのぼります。
当時、出雲国尼子氏(あまごし)と戦っていた毛利(もうり)軍が、手軽な兵糧として「ほし柿」を持ち込んだことが
畑地区のほし柿づくりの起源と伝えられています。
(畑(はた)地区の柿畑)
秋は、広域にわたり熟れた柿の実が畑地区の柿畑一帯を彩ります。
畑(はた)の景観の美しさは、ほし柿農家の方々が、柿の木や実の1つ1つを丁寧に育てていることで保たれています。
なぜ、畑地区のほし柿が「あめ色」と呼ばれているかというと・・・
生柿でも糖度が高く、ほし柿にすると70、80度にもなるからです!!!(すごい!)
畑地区は、粘土質な土壌と山々に囲まれた場所であるため、柿づくりにとても適した自然環境です。
中海から吹き上がる木枯らしが山の傾斜に沿って吹き、霜ができにくく、寒暖差も大きいので良質なほし柿(西条柿)が作れます。
加えて、除草剤を一切使用せず、農薬や化学肥料をできる限り少なくしているので、安心安全な柿になるのです。
(豊かに実る畑地区の西条柿)
(熟し柿もありました!)
さあ!それでは、ほし柿を作ってみましょう!!
教えてくださるのは、畑ほし柿生産組合の皆さんです。
(ほし柿生産組合の皆さんと、おせわさんの皆さん)
まずは、ほし柿の基礎知識や、畑地区の歴史について、副組合長の冨士本数彦さんに伝授していただきました。
畑地区には樹齢500年以上の古木が数多くあり、文献にも「柿小屋建造」の記録が残っているなど、
古くから柿の栽培をしていたことが分かっています。現在でもその文化は受け継がれ、丁寧な手仕事により、
宝石のように美しく、そして、ほっぺが落っこちるほど美味しいほし柿になるのですね。
(ほし柿生産組合 副組合長 冨士本さん )
続いては、柿の収穫!
高い場所にある柿を獲るときのコツは・・・ズバリ!高枝切りばさみの向き!
正しいはさみの向きで枝を切ると、切った後も枝をキャッチできるので、柿が地面に落ちて傷つくことを防げるのだそうです。
(参加者に穫り方の説明をしている ほし柿生産組合の皆さん)
(この向きで切ると、枝をキャッチしたまま柿が落ちません)
(ちなみに、手が届く柿は、はさみで枝を切ります)
今、「あれ・・・?枝って柿を食べるときに要らないよね?」と、思いましたね・・・?!
そうなんです!よくぞ、聞いてくださいました!!
★ほし柿づくりのポイント★
其の1:柿は、枝をつけたまま収穫するべし!
柿のヘタのギリギリを切るのではなく、ヘタに繋がっている枝が「T」の字になるように切っておきましょう!
柿を吊すときに枝がロープに引っかかるので便利ですよ。
(枝は長めに切っておくと、後で調整ができるので安心です)
(木から切り離したら、「T」字ができるように長さを調整します)
ちょっと、ひと息つきましょう。熟し柿にかぶりついたら、収穫完了です!
・・・あま~~~い!!!うまいっ!!!!
(皮をむくと、ぷるっぷるの実が・・・!)
(穫れたての熟し柿)
次に、収穫した柿の皮をむきます。ヘタのまわりをキレイに取るために、今回は機械を使いました。
高速で回転する皮むき機にまっすぐになるように柿を持ち、差し込みます。
(柿が動かないようにギュッと力を入れておさえます)
(仕上がりが美しい!)
残った所は、ピーラーで皮をむいていきます。
★ほし柿づくりのポイント★
其の2:ヘタの部分を親指と人差し指で持ち、脇をしめるべし!
手元がブレると、むきにくくなります。柿は手のひらで覆うように持たず、
親指と人差し指でヘタを持ち、軽く手のひらに乗せましょう。
ピーラーは固定し、柿を動かしながら皮をむきます。お尻(ヘタ)もキレイに取りましょう。
(皮をむくときは、滑りやすいので手袋をするのがオススメです)
(ひとつずつ丁寧に皮をむいていきましょう!)
(キレイにむけました!)
最後に、柿を吊すためにひもに引っかけます。
★ほし柿づくりのポイント★
其の3:柿と柿の間は、くっつかないように広めにとるべし!
柿同士がくっついてしまうと、その部分に風が当たらず、乾きにくくなってしまうので柿と柿の間は広めにとりましょう。
引っかける目安は、5個くらいがベスト!
(ひもの穴に引っかけていきます。無いときは、テグスなどの切れにくい紐を使いましょう)
\まちなびスタッフも挑戦!/
・・・おやおや・・・?どうやら、柿と柿の間が近そうですね・・・
(これは柿と柿の間がせまく、重さでずり落ちてきたりするのでくっつきやすくなります)
(手直しをしてもらって、堂々完成!)
完成したら、風通しの良い場所に吊しましょう!
(畑(はた)地区の柿は、ずっしりと実が詰まっていて重たいので、吊すときは落とさないように注意!)
(淡いオレンジの色に包まれた作業場)
あとは約2週間、待つだけ!どんなほし柿ができるか、ワクワクしますね!
★ ★ ★
ほし柿づくりは、ここで一旦おしまいです。
さてさて、お腹もへってきたところ・・・いざ、皆でランチタイム!
情緒あふれる古民家でいただきます!
(柿畑の中に建つ古民家で休憩。ゆったりと、くつろげる空間です)
(眺めもステキ!)
(お弁当とデザート)
お弁当を作ってくださったのは、松江市玉湯町にお店を構え、
発酵食品・発酵調味料を使った野菜中心の料理を提供している「Kulta」さん。
柿や旬な野菜・果物をふんだんに使ったお弁当!とっても美味しくて、優しい味わいでした!
ランチタイムが終わり・・・ちょっとひと息・・・柿畑へ散策に。
広大な畑をぐるりと一周していきます。
(レッツゴー!)
(発見!合併前の「東出雲町」マンホール!町の木「柿」と町の花「つつじ」が描かれています)
(畑の中に入っていきます)
(散策中も、畑地区の歴史や柿について教えていただきました!)
(カメムシ対策にアップルミントを植えているそうです。ミントなのに、リンゴの香りが・・・!?)
(たまに面白い形ができるらしい・・・)
(葉っぱも大きい!)
(そして、散策の後は・・・名残惜しいですが解散式です)
これにて、本日のイベント「神在月に集う畑(はた)のほし柿づくり体験」は終了です。
お土産に、手作りしたほし柿をいただきました!
(柿は重く、当たると色が変わってしまうので、そっと袋に入れます)
持って帰った柿は、吊しておきます。
(2週間、風を当て続け・・・)
待望のほし柿が・・・できあがりました!
では、心して・・・実食!!!
(まちなびスタッフの手作りほし柿)
・・・なんと言うことでしょう!大変、おいしいほし柿です!!!
「柿」も「ほし柿」も長い時間をかけて丁寧に作ることで、甘さや食感など、異次元のおいしさを味わうことができるんですね!
こんなにおいしいなんて・・・大・大・大感動です!
松江市東出雲町上意東畑地区――ここでは、秋頃になるとキラキラと輝く「あめ色の宝石」に出合えますよ。
そして、まずは!ぜひ、畑地区の「ほし柿」を食べてみてくださいね!
★ ★ ★
【おせわさん(一般社団法人Expe)】
島根県松江市殿町63 2F
TEL 0852-61-8015
【畑ほし柿生産組合】
島根県松江市東出雲町上意東816
TEL 0852-52-5824
取材へのご協力、ありがとうございました!心より、御礼申し上げます。