別府港周辺さんぽ
2016年09月14日
別府港は、隠岐 西ノ島町の玄関口。
西ノ島町へ発着するフェリー、高速船、内航船はすべてこの別府港に止まります。
お土産物屋や食事処が並ぶ別府港周辺ですが、それだけではない見所があります。
ぶらぶらと、港から徒歩でも行くことができる名所を2ヵ所、訪れてみました。
船を降りてすぐ、または船に乗るちょっと前に!!立ち寄ってみてくださいね。
まずは、『黒木御所跡』。
別府港から海岸に沿って東へ約750m。徒歩10分ほど。別府湾に面した「天皇山」と呼ばれる小高い丘の上にあります。
元弘の乱に敗れ隠岐に流罪となった後醍醐天皇が、脱出されるまでの1年間をお過ごしになったとされる行在所跡です。
門を潜るとすぐ左手には『碧風館』という資料館があり、黒木御所の資料が展示されています。歴史好きの方は特に、興味をそそられる場所ではないでしょうか。
階段を上がると...
後醍醐天皇をお祀りする『黒木神社』があります。
ひっそりとした雰囲気のある神社です。
階段下の鳥居です。
別府湾の岸壁をすぐ後ろにして建つこの鳥居は、別府港からも眺めることができます。歩いて向かう際は目印にもなりますよ。
奥手の道をさらに進むと、『黒木御在所跡』に辿り着きます。
狭い平地に今は石碑が建つのみ。外界と切り離されたかのように静かな場所です。
当時も、聞こえるのは鳥の鳴き声と警備兵の声のみだったと記されていました。
じっと立ってみると、「ここで討幕への想いを滾らせ建武の中興を成し遂げられた後醍醐天皇のお気持ちはどれ程のものだったのだろう。」と、計り知れない存在感に、襟を正されたような気持になりました。
黒木神社を右へ進むと、展望所があります。
「こんなところに展望所?」と思い近づくと、とても良い眺めがありました。
この日も、別府港から海士町(中ノ島)の菱浦港に向かう「フェリーどうぜん」が見えていました。
天気の良い日はこんな風景が、ここにあります。
2ヵ所目は『美田八幡神社』。
ここは別府港から約300m。徒歩5分程度で行くことができます。
この日は生憎の雨。焼火山へ登る予定を急遽取りやめ、内航船を待つ間に別府港周辺を散策することに...。そうして辿り着いたのがこの神社です。
山に囲まれた長閑なところ。隠岐は海だけではなく、山の表情も素晴らしいですよね。
一の鳥居、二の鳥居を潜り階段を上がると、清潔感の漂う境内がありました。
御社は、前に長く反った屋根に柱間が2間ある「二間社流造」という全国的にも珍しい形式なのだそうです。
控えめながらも、間口の広いお社が特徴的な神社です。
個人的な印象としては、横に広い造りが、どことなくお寺に似ているように思えました。(繋がりがあるかどうかは分かりませんが、明治以前には、神体と一緒に仏体も祀られていたのだそうです。)
立派な土俵もありました。
この土俵が綺麗で、きちんと手入れされていることが伝わってきます。
美田八幡神社では、西暦奇数年の9月中旬に例大祭が行われます。
例大祭は「神の相撲」「獅子舞」「田楽」の3部で構成され、中でも「十方拝礼(しゅうはいら)」と呼ばれる田楽踊は中世から受け継がれている伝統的なもので、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。舞だけでなく、衣装も色彩豊かで素晴らしいものなのだそうです。
十方拝礼は、浦郷地区の日吉神社の例大祭でも西暦偶数年の10月に奉納されます。
毎年どちらかの神社で見ることができるのですね。
この境内に舞台が組まれ、「神の相撲」「獅子舞」「田楽」が奉納されます。
先ほど見た土俵では、奉納相撲が行われるのだそうです。
例大祭は来年の今頃。
きっと素晴らしい光景が、この場所に広がっていることでしょう。
「あぁ・・・見てみたい。。。」
別府港周辺を歩いてみたら、再び西ノ島町を訪れたくなる、良い出会いが待っていました。
もちろん、どちらも車で行くこともできる場所ですが、お散歩気分で歩いてみるのもまた、気持ちが良いものです。海に山に、遠い昔からの歴史や文化の息遣いも感じられる、別府港周辺散歩でした。