大東窯 ~大東鉱山とモリブデンの神秘~

 知る人ぞ知る出雲地方の伝統工芸【出雲大東窯】

昭和46年に開窯され、現在は大西さんが娘さんとともに伝統を繋いでいます。

今回は、工房の主・大西さんから「大東窯の魅力」を聞いてきました!
おおにしさん
(大西さん・娘さん)

 

やって来たのは、雲南市大東町――
鮭神社や塩竈神社の近く、県道25号を走っていると、突如なにやら気になる看板が現れます。
大東窯看板1

その看板に導かれて山の中を進んでいくと、趣ある建物が見えてきました。
(途中、ホントに大丈夫???という気持ちになるかもしれませんが、信じて突き進みましょう。)
いりぐち3
(坂をのぼっていくと「大東窯入口」という看板がありました。入ってみると・・・)


がいかん
(工房の外観)


こうぼう
(工房内)

 

建物は昭和の頃のまま残っているといいます。
「実はね・・・」と大西さん。
以前に訪れた人から「廃墟かと思った・・・」と言われたという珍エピソードを話してくださいました(笑)
見た目こそ新しくはありませんが、建物内は窓も大きく、とても明るい印象でした。

何より、自然の音が耳に心地よい!
山から直接引いているという流水の音、風に揺られる木々の葉の音、山に響く鳥の鳴き声・・・・・・
自然に囲まれていると思わず時間を忘れてしまいそうです。



・・・・

 

ここには工房と展示室がそれぞれあり、陶芸体験や器などを買うことができます。
大東窯は、島根県内でも出品している場所が限られており、
年に数回行われている展示会でのみ購入することができるため
直接買いに訪れるお客さんもいるのだとか・・・掘り出し物がたくさん見つかるかもしれませんね!


展示室
展示1展示2
うつわ1うつわ3
うつわ2うさぎ

大東窯をお求めできるお店は、一番最後にご紹介していますので、ぜひご覧くださいね。

 

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大東窯の歴史は、大東鉱山の歴史とともに流れていきます。
戦時中~戦後しばらくの間、雲南市大東町には日本一の生産量を誇ったというモリブデン鉱山の大東鉱業所がありました。

モリブデンとはレアメタルの1つで、鉄鋼用添加剤や加工素材として使われる金属です。

モリブデン
(モリブデン鉱石)


戦後まもなく、大東鉱山の1つの事業として鉱業所の従業員たちが始めたのが現在まで続く【出雲大東窯】です。

その後、3名の方中心となり本格的に活動を始めました。
大西さんは平成9年からお手伝いをするようになったそうです。
あるとき、お客さんに自作の器を買ってもらったことで物作りが一層楽しくなり、今でも作り続けていると語ります。

現在は、5年前から娘さんと一緒にアイデアを出し合いながら作品を生み出しています。

 

出雲大東窯 最大の特徴は、このモリブデン鉱石を使用した釉薬が出す【うぐいす色】です。
モリブデン鉱石は、日本では今はほとんどが輸入されているらしいのですが、ここ大東窯では鉱山時代のものを使っています。

まず、鉱石の黒い部分を粉状にし、釉薬を作ります。
白などの釉薬とあわせることにより、作品の風合いが変わってくるそうです。


釉薬1
(白い釉薬)  

釉薬2
(モリブデン鉱石使用のうぐいす色の釉薬)


釉薬を見せてもらいましたが、職人の目で見ないと違いが分かりませんでした・・・(笑)

そして、ちょっと驚いたのですが、大東窯は電気窯で焼き上げるのだとか!


でんきがま

電気窯で焼き上げることによって綺麗なうぐいす色を表現することができるのだそうです。


カップ2
(白い釉薬の上にモリブデン使用の釉薬をあわせることで、温かみのある色合いに)

カップ
(モリブデン使用の釉薬のみを使い、深いうぐいす色の仕上がりに)

 

この風合いを表現するのも一苦労だと大西さんは話してくださいました。
釉薬を作るとき、濃度によって仕上がりの色が薄くなったり、濃くなったりして意外と思うようにいかないと言います。

「色合いだけではなく、急須などのフタがついているものは、なかなかピッタリには収まらないので大変なんです」と大西さん。
また、夏はすぐに乾いてしまい器が変形したり、冬は乾きが悪いので焼くのに時間がかかったりするそうです。

一度にどのくらい作られるんですか?と聞いてみると、
「朝から夕方までで、1回の制作で20個程度同じ作品(コップや皿)ができます」と、続けて・・・
「あんまり同じ物を沢山作ると大義になりますよね(笑)」と思わず笑ってしまうような人間味のある回答もいただきました(笑)。

 

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さて、我々が大東窯に来たる目的の1つに「陶芸体験」がありました。
こちらの工房では4月~11月の間、1回1,500~円で気軽に体験することができるそうです。(予約制)
子どもから大人まで、希望の器が作れます。
所要時間は30分~1時間程度とお手軽な体験内容になっています。

今回は、お皿とコップを作ってみました!


\まずはコップから・・・/


①底をつくりとうげい7
②細長く伸ばして輪っかにしますとうげい1
③重ねていきますとうげい6
④繰り返していくとできてきましたとうげい4
⑤形を整えて・・・とうげい8
!!!!!!完成!!!!!!かんせい



\次はお皿を・・・/


①手で平たくした土を更に均等に平らに伸ばしますとうげい2
②型にそって切り取り・・・とうげい5
③指でお皿の縁をつくり、模様を描きますとうげい3
!!!!!!完成!!!!!!かんせい2


 

色つけなどの仕上げは大西さんにお任せし・・・約1ヶ月後、こんな感じに焼き上がりました!


つくったよ!


いかがでしょう??
すてきな すてきな味わいに仕上がりました!!!

陶芸体験してみたいな~と思われたら、一度お電話してみてくださいね。

 

・・・ ・・・

 

【出雲大東窯】
島根県雲南市大東町東阿用481
TEL 0854-43-2056
土曜日(16時まで) ※日・祝日はお休み
(まずは、お電話ください)

 


【取り扱い店】
■ローズマリー(木次マルシェリーズ内)
■島根県物産観光館

 

 

取材へのご協力、ありがとうございました!心より、御礼申し上げます。