八咫烏を招く?石見国二宮
2018年03月14日
江津市二宮町神主という地域。その名のとおり?ここには石見国二宮『多鳩神社』があります。
この神社に珍しいものがあると聞き、車を走らせ行って参りました。
JR都野津駅から県道297号線へ。その後は看板を頼りに進んでいくと...
ありました!多鳩神社の鳥居です。
さぁさぁ、このすぐ近くに神社が・・・ない!? 辺りをしばらく探しましたが、あれ?・・・ない!!
・・・大変失礼しました。多鳩神社は、一の鳥居を潜り進むこと300mほどのところにありました。車で行くことができます。
気を取り直して車を降りると、先ほどの一の鳥居のところとは、明らかに気温が違いました。
ひんやりとしているのです。
私たちはこれを感じるために一の鳥居周辺を散策していたんですね。決して間違えたわけでは...
いえ...、あります...。皆さま、お間違えのないようにお出かけください。
主祭神は、積羽八重事代主命(エビス様)。
かつては多鳩山の上にあり、石見の国を開拓されたエビス様の終焉の地と伝わる神社。
室町時代に山麓の現在の地に奉還されたそうです。
苔生す石段を登って行きます。
水と風、自然の音だけが聞こえる、静かで冷やかな空間。
怖ろしさとは少し違う、"神気に満ちた"と言うのでしょうか、独特な空気。
随神門を潜ると、横には小さな滝。
"タマトの瀧"と言うそうです。
人工のもののようでしたが、周囲の深い緑に馴染む、雰囲気のある滝でした。
もう少し階段を登ると...社殿が現れます。
屋根は、石見地方(島根県西部)特有の石州瓦。
目をひいたのは、横に長い拝殿に、大社造の変形と言われる本殿が長く連なる構造。
今までに見たことがない、少し変わった造りに思えました。
しかし、多鳩神社にある珍しいものは、それだけではありません。
この多鳩神社は、八咫烏(ヤタガラス)の伝説がある神社。八咫烏を招くための"あるもの"が備え付けられていると言います。
八咫烏とは、日本神話に登場する、導きの神、太陽の化身ともいわれる3足脚のカラス。
(日本サッカー協会のシンボルマークと言えば、お分かりになる方も多いでしょうか。)
さて、その"あるもの"はどこに?
境内を見渡してみると、社務所の前に石碑と看板が!
「江津市指定文化財 天然記念物 多鳩神社のナギ及び自然林」 石碑の傍らに立派なナギの木。樹高15m。胸高周囲は1.72m。
ナギの木は、マキ科の広葉裸子植物。その葉は古くから航海安全のお守りとして身に付けられていたそうです。困難を薙ぎ("ナギ")倒す力。そして、縦に走る葉脈が特徴の葉は千切れ難く縁結びの力もあるとされています。
多鳩神社のナギの木は、江戸中期、海が凪いで安全に航海できるようにと祈願して植樹奉納されたものと伝えられています。
立派なナギの木。しかし、八咫烏にまつわる"あるもの"は、また別のものでした。
境内をじっくり歩いてみると・・・
ありました!本殿の軒下に、その珍しい"あるもの"が!!
大きくしてみましょう!こちらです!!
この、軒下からぶら下がる木製の台のようなものが、八咫烏に関係のある珍しいもの。神饌台です。
八咫烏をお招きするために備え付けられたものなのだそうです。
独特の空気を放つ、木々に囲まれた神域。
本殿の傍に静かに立ってみると、"本当に八咫烏が飛んで来るのでは?"と、感じさせられる気配がありました。
そして、ひんやり落ち着いたこの空間のお陰でしょうか。いつもよりシャキッとした自分で、拝殿に立つことができたように思います。
導きの力を持つという八咫烏ゆかりの神社、多鳩神社。
他にはない雰囲気と"あるもの"を見つけに、お参りに訪れてみてください。
☆多鳩神社について⇒詳しくはこちら(江津市観光協会)
江津市二宮町は、万葉歌人・柿本人麻呂と恋に落ちた、依羅娘子(よさみ姫)出生の地でもあります。
そのお話は、また次の機会に紹介させていただきます♪