ここまで、(1)【始まりと橋脚群編】(2)【コンクリートアーチ橋編】とを巡って参りましたが...
最後に、戦後に着工した新線の遺構を見せていただきました。

今福線の新線は、旧線とは異なり、浜田駅から今福までを直線で結ぶ路線です。

今福線(新線)『鉄楽の道』

今福線(新線)『鉄楽の道』

今福駅の予定地まで約3km。ずーっと真っ直ぐ延びる道は、『鉄楽の道』という面白い名前が付けられています。"鉄道を楽しむ道"。そう聞くと、歩くのが特別に楽しく感じられます。

第一下府川橋梁。
ここは旧線と新線が交わる場所。
※普段は立入禁止となっていますが、今回は特別に中に入らせていただきました。

第一下府川橋梁

右に写るのが旧線の4連アーチ橋。旧線と新線の遺構が隣同士に存在しています。
このように未成線同士、両方を一緒に写真に収めることができるのは、日本でもここだけなのだそうです。貴重なツーショットです。

旧線にかわり夢を繋ぐはずだった新線ですが、道半ばで建設は中止。
今福線は今、"幻の鉄道"としての道を歩んでいます。

今回の旅はここまで。気が付けばあっと言う間に3時間が過ぎてしまいました。

今福線を巡る旅は、次々に現れる遺構に目を凝らしたり、建設当時の様子や機関車が走る姿を想像したり、少しだけ山の斜面を登ったり、草道を歩いたり、程よく身体を動かしながら...まるで探検をしているような、他では味わうことのできないワクワクした時間になりました。

田んぼの向こうのコンクリートアーチ橋

今回ご紹介した場所以外にも、今福線の遺構は数多く点在しています。
美しい渓谷美に溶け込むように遺る貴重な鉄道遺構。浜田の美しい風景を目にしながら、幻を探す、素敵な旅ができますよ。
(詳しくは浜田市のホームページ『広浜鉄道今福線』 をご確認ください。)

 

旅の途中で印象的だったことがもうひとつありました。
道中で、バイクに乗って広島から今福線の遺構めぐりに来られたという方と出会いました。何度か来られているそうで、まるで少年のような顔で楽しそうにされている姿が心に残りました。
形は違えど、今福線が広島と浜田を繋いだんだなぁと思い、なんだかうるっときてしまいました。

「良かったね、今福線。ちゃんと繋がっているよ。」

『おろち泣き橋』からの風景

"幻の広浜鉄道"今福線。
「これから素晴らしいところへご案内しましょう。」と仰った石本さんのことばが浮かびます。
自分の生きる地元を、そんなふうに言える人が住む町です。地元では、今福線を観光資源として活かそうとする取り組みが行われています。

遺されたものから産まれ出てくる想いや夢を乗せて、繋がらなかった今福線は、さぁ、これから・・・!

幻の広浜鉄道

<おわり>