隠岐の絶景、驚くほどの自然の美しさは、一度訪れたら誰もが実感するところだと思いますが、
"隠岐ユネスコ世界ジオパーク"とは?


改めて聞かれると、なんだかはっきりとは答えられないような...


そもそも、ジオパークってどういう意味?
―"地球・大地(ジオ)"の"公園(パーク)"???―

文部科学省のHPから抜粋すると
「「ユネスコ世界ジオパーク」は、地層、岩石、地形、火山、断層など、地質学的な遺産を保護し、研究に活用するとともに、自然と人間とのかかわりを理解する場所として整備し、科学教育や防災教育の場とするほか、新たな観光資源として地域の振興に生かすことを目的とした事業です。」

専門家にしか分からない学術的な価値だけではなくて、大地と自然、そこで生まれた人々の歴史との繋がりを、誰もが見て学べる、感じて楽しむことができる、地球の公園のようなところ。と、解釈すれば良いでしょうか。


ジオパークについては何となく分かったような気がしますが...
それでは、隠岐のどんなところが世界ジオパークなのでしょう?

隠岐のことは隠岐に行くのが一番!
と、訪れたのは、『隠岐自然館(隠岐世界ジオパークビジターセンター)』
隠岐の島町(隠岐島後)の玄関口、西郷港のすぐ近く。隠岐ポートプラザ2階にあります。

隠岐自然館(隠岐世界ジオパークビジターセンター)

隠岐諸島の成り立ちの解説や、それを根拠付ける様々な岩石たち。植生、海洋生物、動物、野鳥、昆虫等、隠岐独自の生態系を紹介する展示。それから、2013年に発見された巨大ワニの一部の化石や、飼育されている隠岐の島町の天然記念物「オキサンショウウオ」も見ることができます。
可愛いお顔のオキサンショウウオは、隠岐だけに生息する両生類。隠岐自然館のマスコットキャラクターにもなっています。

黒曜石で新聞紙を切ってみることができるコーナーもありました。切れ味は想像以上!!

旧石器時代に刃物として使われていた黒曜石。隠岐で採れる黒曜石は良質で、3万年も前から丸木舟で日本の各地に運ばれていたそうです。当時は今よりも日本中で隠岐が有名だったかもしれないという驚きの歴史も知りました。

無題

4千万年前に大陸の一部だった隠岐は、長い歳月の間に、海面水位の変化や噴火活動、地殻変動を繰り返し、今のような島へと変化していったそうです。その大地の成り立ちを示す特異な地質や自然景観、その過程の中で生まれた独特の生態系、人の歴史。それらが今にしっかりと残る隠岐。

隠岐自然館は、隠岐諸島がどんなに価値のある地球の遺産であるのか、隠岐が世界ジオパークたる由縁を、展示や解説、面白い体験等を交えて、ぎゅぎゅっと分かりやすく凝縮して伝えてくれる施設。隠岐ユネスコ世界ジオパーク初心者には有難いところでした!


それから、隠岐自然館の方に教えていただいたおすすめスポットの中から、「黒島」の対岸へ向かってみることに・・・


隠岐の島町大久。黒島展望台から見る『黒島』です。

黒島展望台

この島、ただの岩礁ではないんです!
黒島は、マントルゼノリスの島!!

 

"マントルゼノリス"。 いえ、何かの呪文ではありません。

黒島

大久の黒島は約330万年前の噴火により噴出した玄武岩によって出来た島ですが、ここの玄武岩はキラキラ輝いているそうです。その正体こそが、マントルゼノリス。ゼノリスは捕獲岩の意味。

地中奥深く、地殻下にあるマントル層の岩石を、噴火の際にマグマが取り込んで地上に噴き出し、形成された玄武岩。現代の技術ではまだ掘り進めることができないマントル層。そこの石の一部が黒島を形づくっているなんて、聞いただけで心が躍りませんか?

そのマントルゼノリスは、黒島の対岸にあるここ、大久の海岸でも見ることができるとのこと。

黒島海岸遊歩道

展望台から下へ降りる道『黒島海岸遊歩道』を歩いていくと...

黒島海岸遊歩道から見る黒島

可愛らしい紫色のお花が迎えてくれました。

シロウマアサツキ。
高山や日本でも北の寒いところに育つ植物ですが、隠岐では北方や高地の寒いところと、南方の暖かい低地に生息する植物が同じ場所に自生することが珍しくありません。そのメカニズムはまだ完全に解き明かされてはいないようですが、そんな独自の生態系をもつところも、隠岐ユネスコ世界ジオパークの魅力のひとつです。

シロウマアサツキ

海岸に辿り着くと、黒島がより近くにはっきりと見えました。もぅ、うっとり。。。

黒島

ジオパーク的価値を教わってから見る黒島はもう、宝の島にしか見えません!

そして、足元に見えるのは、マントルゼノリス!!

無題

写真が上手く撮れず申し訳ないのですが、実際にはキラキラと光って見えていました。

無題

"隊長!これは、マントルゼノリスであります!!"

岩肌を隈なく観察しては、専門家気取りで教わりたてのマントルゼノリスを確認し合う、しまねまちなびスタッフ。

知らなければ味わえなかった興奮。知らずに来ていればただの岩。ですが、知った今ではもう、宝の塊にしか見えません。

地質学なんて全く縁のない世界だと思っていた私が、こんなにも岩肌に感動する日がくるなんて...恐るべし、ジオパーク!

 

そしてそして、目を上げると見える黒島の美しいこと...

大久の黒島

<マントルゼノリスについて、詳しくは隠岐ユネスコ世界ジオパーク推進協議会へ


隠岐自然館で解説をしてくださったスタッフの方が、隠岐がジオパークになって一番良かったことは、隠岐の小・中・高等学校のカリキュラムに隠岐ユネスコ世界ジオパーク学習が組み込まれたことだと仰っていました。

これからの隠岐の子供たちは、隠岐の本当の素晴らしさや価値を学び感じながら成長していきます。"ふるさと隠岐"を自分の言葉で語ることができる大人が育つ。それは、大きな大きな財産ですよね。

私たちも、少しの時間、隠岐自然館で学んだだけでしたが、それから見る隠岐の島町の景色は、以前に訪れたときとは全く違っていました。 

これからもっと、隠岐の魅力は掘り出され、新たな力とともに、大きく広がっていくのだと思います。

"おぉ!これがマントルゼノリスの島!!"
と、黒島を見たときの興奮と感動は、その価値を教えていただいていたからこそのもの。

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みなさんも、世界ジオパークをテーマに、隠岐を旅してみてはいかがでしょうか?

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感動がきっと、何割も増しますよ。きっと!!


<隠岐ユネスコ世界ジオパークについてもっと詳しく知りたい!という方は、隠岐ユネスコ世界ジオパークの公式サイトをご覧ください。>

大久の黒島