400年の歴史に時を忘れる【絲原記念館】

島根県奥出雲地方はかつて“たたら製鉄”が盛んに行われた地。

江戸時代末期には、日本の鉄の3割を生産していたとか。

中でも奥出雲町に400年続く“絲原家”は、出雲の”鉄師御三家”と呼ばれ、寛永13年(1636)からたたら製鉄業を開始。藩政期には松江藩の鉄師頭取を務め、大正12年(1923)まで約290年にわたり、たたらの火を燃やし続けました。

 

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そんな絲原家が伝承してきた、たたらの資料や、松江藩からの拝領品を含む美術工芸品、家具調度品などが保存、展示してあるのが、「絲原記念館」です。

絲原記念館案内板

外からは分かりませんが、敷地内はとても広く、大きく3つのエリアにわかれています。

 


 

《1.記念館エリア》

記念館の中に入るとまずは「たたらコーナー」

パネルや資料、用具、可動模型などが所狭しと並んでいて、たたら製鉄に関わる事柄が、わかりやすく展示してあります。

展示室1

また「有形民俗資料コーナー」では、藩政期、農民でありながら、松江藩の五人扶持士分格(=武士の身分)という特異な階級でもあった絲原家に伝わる、儀礼用具・嫁入り道具などの家具調度・什器や衣類などが、季節に合わせて展示されています。

 

第2展示棟は「美術工芸品コーナー」

千利休筆の書状、大名茶人・松平不昧作の書幅や茶杓など様々な美術工芸品の他、2階には立体展示コーナーを設け、松江藩主来訪時の膳の様子なども展示されています。

展示室2

記念館は展示品の内容、数共に、見ごたえ十分。

季節ごとに展示替えも行われるということですから、その収蔵品の多さに驚かされます。

 



 《2.居宅・庭園エリア》

隣接する絲原家の居宅は国の有形登録文化財で、建坪350坪、部屋数40室を誇る大邸宅。

その居宅や庭園の一部が公開されています。

居宅

 

四季折々の彩りを魅せる池泉回遊式の出雲流庭園は、江戸時代末頃から約50年の年月をかけて、明治時代中頃に完成したもの。

庭園1 庭園2

こちらには、与謝野晶子をはじめ、多くの文人墨客も訪れているとか。

 



 

今までにまちなびスタッフは秋(11月)と春(4月)の2回、絲原記念館を訪れていますが、どちらの季節もおすすめ。

11月は紅葉の時期。絲原家の周辺も木々が色づき、いつもよりさらに美しさと趣が増しているようです。

11月

 

4月は新緑や花が美しく、生命の息吹を感じることが出来ます。

4月

特に、そんな絲原記念館の四季折々の変化が楽しめるのが、記念館奥手にある林間散策路

《3.洗心乃路エリア(※冬季閉鎖)》です。

約2,000坪のエリアに、山野草や茶花、樹木約350種が植栽され、名前の通り散策していると心が洗われるよう。

 

<11月の様子>

11月4 11月2

11月3 11月3

 

<4月の様子>

4月4 4月3

4月2 4月5

 


 

これら3つのエリアでも見所満載。十分満足ですが、それ以外にも、まだまだ楽しめる場所が・・・

絲原家住宅内にある、カフェスペース「茶房十五代」

十五代

住宅は1924年に建築されたもので、国の登録有形文化財。

 

喫茶1 喫茶2

大正時代の雰囲気を味わえる、とても素敵な空間です。

取材に訪れた私たちも、あまりの居心地の良さに時間が経つのを忘れてしまいました。

 

その他、ヤスキ鋼を原料とした手打ち包丁や奥出雲の特産品、また古美術品を取り揃えた売店も併設しています。

 



 

かつて、奥出雲で盛んだった「たたら製鉄」。

奥出雲のあちこちで見られる豊かな風土は、このたたらが生み出したものが少なくありません。

そしてそれらを育んできたのが、絲原家です。

絲原記念館は、その歴史を現代の私たちにしっかりと伝えると共に、趣のある建物や庭園、自然の美しさを感じながら、ゆったりと過ごせる場所。季節ごとに何度でも訪れたくなる場所でした。

 

訪れる際は、是非時間をたっぷり使って見て頂きたいです^^

 

絲原記念館

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